人工ニューラルネットワーク (ANN) の動態パラメータの推定への応用の可能性についてシミュレーションにより検討した。Sokoloffの糖代謝モデルと文献より得た速度定数の平均および標準偏差の値を用いて, 種々の時間放射能曲線 (TAC) を作成した。作成したTACを入力とし, 用いた速度定数の値を出力として誤差逆伝搬法を用いて, 入力層, 中間層, 出力層からなる階層型ニューラルネットワークの学習を行った。ANNの学習能は中間層のニューロンの数および学習データの数の増加とともに向上した。ANNのパラメータの推定精度は, ノイズレベルが低い場合には非線形最小二乗法に比べて劣っていたが, ノイズレベルが高い場合には非線形最小二乗法に比べ概して優れていた。ANNは学習に長時間を要するが, 一度学習を終えると高速にパラメータを推定し得た。本検討により, ANNの動態パラメータの推定への応用の可能性が示唆された。
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