軟X線顕微鏡は,水の窓領域の軟X線を利用するため,水分を含む生体試料の観察が可能である。撮影像におけるX線フレネル回折の影響によるボケ修正は,フレネル回折・逆回折計算により行ってきたが,染色体等の低コントラスト画像では修正が不完全となるものがあった。本研究では,不完全修正にはバックグラウンドノイズが大きく影響していることを確認し,ノイズを除去することで,不完全修正画像の修正が可能となった。
放射能インベントリの推定には,放射性核種の組成に応じたドラム缶の分類が必要となるため,ウランを含む廃棄物ドラム缶のγ線スペクトルデータに対するランダムフォレスト法とサポートベクターマシン法の分類性能を比較した。使用したドラム缶に含まれるウランは,ウラン鉱石由来の天然ウランと回収燃料に由来する回収ウラン及びイエローケーキ中の不純物由来のラジウムを多く含む天然ウランである。これらのドラム缶のγ線スペクトルデータ1037点のうち,75点を訓練データとし,残りのデータ962点を用いて比較した。今回の検討では,ランダムフォレスト法がチャネルシフトに影響を受けない分類となった。
ミュオンビームを用いた研究が可能な箇所は世界で4か所である。英国のラザフォード=アップルトン研究所(Rutherford-Appleton Laboratory: RAL),スイスのポール=シェラー研究所(Paul Scherrer Institut: PSI),カナダのTRIUMF研究所,そして日本のJ-PARCミュオン施設である。本稿では各施設を概観し,その特徴や有効な活用法に関しての情報を提供することを期する。