ウシの胆汁からブタノールを用いて抽出した物質 (BBDと略す) は90~95%のタウロコール酸を含んでいる。このBBDを
131I-標識人血清アルブミソに結合させてBBD-IHSAを作製したところ, このものは担がん動物の新生物にも高濃度に沈着することが知られている。本研究の目的は各種悪性腫瘍患者の腫瘍部がBBD-IHSAによってシンチグラム上に描写できるか否かを調べることであり, またBBD-IHSAによる治療の可能性を論ずることである。方法および結果: 130μCiないし1.0mCiのBBD-IHSAを静注し, 経時的に全身のシンチグラフィを行ない, シンチグラム上に腫瘍を描出できるか否かを調べた。21例の各種のがんおよび肉腫症例についてこの方法を行なったところ15例に陽性描出を得, 6例が描出不能であった。このうち陽性描出5例のシンチグラムを例示した。症例の選択方法によっては陽性描出率をあげることも可能と思われる。
BBD-IHSAによる治療の可能性を検討するために, 数例の進行性がん症例について10mCi以上のBBD-IHSAを静注し, そののちの経過を観察した。観察期間が短くまだ効果を十分に検討するに至らないが, 症状の緩解にかなり有効であった症例を経験した。
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