RADIOISOTOPES
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55 巻 , 12 号
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  • 今泉 洋, 長澤 智史, 狩野 直樹
    2006 年 55 巻 12 号 p. 709-718
    発行日: 2006/12/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    生態系に及ぼすトリチウム (3H又はT) の影響とHを含む物質の反応性を明らかにするため, 同一分子内に異なる3種の官能基を持つL-システイン酸とL-システインの反応性を追究した。これらの物質とHTO蒸気との間の水素同位体交換反応 (T-for-H交換反応) を50~70℃の温度範囲で観測し, 得られたデータとA″-McKayプロット法とを用いて各々の反応を解析した結果, 次のことが明らかになった。 (1) 異なる3種の官能基を持つこれらの化合物中の各官能基の反応性は温度の上昇に伴い増加する。 (2) L-システイン酸中のSO3H基の反応性は, COOH基の反応性のおよそ2.6倍であり, NH2基の反応性のおよそ5.8倍である。 (3) L-システイン中のSH基の反応性は, COOH基の反応性のおよそ1.4倍であり, NH2基の反応性のおよそ3.5倍である。 (4) NH2基は電子求引性の大きい置換基が置換すると反応が促進されるが, COOH基ではあまり影響がない。 (5) 異なる3種の官能基を持つ脂肪族化合物について, A″-McKayプロット法を使うと, その物質の反応性を, マスク剤等を使わないで非破壊的・同時分析的に明らかにできる。 (6) ある種の物質へのT取込みの程度を, 非破壊的・定量的に明らかにできる。 (7) 本研究で得られた結果は, 環境中のT汚染防止のために役立ち, また今後, 複数の官能基を持つある種の物質の反応性を追究するための解析手法として役立つ。
  • 渡部 陽子, 木名瀬 栄, 斎藤 公明
    2006 年 55 巻 12 号 p. 719-725
    発行日: 2006/12/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    体内に摂取された放射性核種の一部は尿中に排泄されるため, 膀胱の線量評価は放射線防護や放射線診断の観点から重要である。信頼性の高い線量評価には, 放射線感受性の高い細胞を考慮する必要があるため, 膀胱の線量評価においても放射線感受性の高い基底細胞を考慮すべきである。本研究では, 光子及び電子に対する膀胱壁全体や基底細胞 (伸縮の程度により変化: 70~140μm, 基底細胞直径: 5~10μm) の比吸収割合 (SAF) をモンテカルロシミュレーションにより計算し, 9核種 (11C, 13N, 15O, 18F, 89Sr, 90Sr, 90Y, 99mTc, 123I) についてのS値を評価した。その結果, (1) 光子に対する基底細胞のSAFは, 10から30keVの間で膀胱壁全体のSAFよりも極めて高い値となること, (2) 電子に対する基底細胞のSAFは, 10keVから4MeVの間でエネルギーが高くなるにつれて増加すること, (3) 低エネルギー放射線を放出する核種のS値は放射線防護分野において利用されているS値に比べ大きく変化することがわかった。以上から, より現実に近い膀胱の線量評価には, 放射線感受性の高い基底細胞を考慮することが必要であると考える。
  • 眞田 幸尚, 小林 博英, 古田 定昭, 根本 和彦, 川井 啓一, 橋本 哲夫
    2006 年 55 巻 12 号 p. 727-734
    発行日: 2006/12/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    同時計数法の一種であるパルス時間間隔解析法を用いて, β-α相関事象を選択的に測定した。測定システムは, Si半導体検出器で測定した放射線パルス間の時間間隔を測定できる構成とし, 214Poの半減期 (164μs) を考慮して不感時間の短い設計とした。本研究では, 230Thの電着線源を使用してシステムの基本的な性能を調べた。隣接した時間間隔のデータをパルス時間間隔解析法の一つである隣接時間間隔解析法 (STA) により解析した。
    結論は, 次のようにまとめられる。
    (1) Rn子孫核種に属するマイクロ秒単位の半減期の相関事象を測定した。 (2) パルス時間間隔解析法を利用した214Po測定の理論を確立した。 (3) 214Poの測定システムを開発した。 (4) 230Th電着線源を用いてシステムの有効性及び検出限界について示した。
    本研究は, ラドン子孫核種のバックグラウンドの変化を補償することによって, 人工放射性核種の混入を検出するためのα線モニタリング手法として応用が期待できる。
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