飛来するγ線に対して積極的に方向依存性を高あて, γ線の飛来方向とエネルギーを同時に計測するためのタンデム検出器を試作した。この検出器の内部では直径50mm, 長さ25mmのNaI (Tl) シンチレータ, 同じ形状のBGOシンチレータと対応した光電子増倍管がこの順序で光学的に結合されている。γ線の飛来方向によって各シンチレータを横切る長さが変わるので, NaI (Tl) シンチレータとBGOシンチレータによって生じた光電ピークを計数し, その計数比を求めることによって飛来方向が認識される。
タンデム検出器を用いて, (1) 計測原理の確認, (2) 性能の検証のための実験を行った。まず3.7MBqの
137Csを検出器の前方20cmのところに置き, 飛来したγ線を60秒計数し, スペクトルから計数比を求めた。線源を検出器の側方に向かって10度ずつ90度まで動かし, 同様な実験を繰り返した。つぎに線源と検出器間の距離を30cm, 100cm, 200cmとして実験を続けた。実験結果より, 飛来方向が0度から90度まで変わると, 計数比は1.7から3.0まで変化することがわかった。すなわち, これは計数比を知ることにより飛来方向が決定できるということを意味している。タンデム検出器のエネルギー特性は単独のNaI (Tl) 検出器, BGO検出器と同等であることも確認された。
この結果より, タンデム検出器でγ線の飛来方向とエネルギーを同時に計測できることが示された。
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