電子スピン共鳴法 (ESR) を用いて, γ線照射した朝鮮人参中のラジカル種の解析を行った。照射前の試料のESR信号スペクトルにはg=2.0を中心とする6本線 (第1信号) と, 同じg値の鋭い1本線信号 (第2信号) , g=4.0 (第3信号) が認められた。第1信号は超微細結合定数が約7.4mTであることから, Mn
2+と同定された。第2信号は有機フリーラジカルである。第3信号はFe
3+と同定された。照射処理によって新たに第4の信号がg=2.0近傍に明瞭に検出された。ESRマイクロ波強度の遂次飽和曲線をとると4種のラジカルが全く異なる緩和現象を示したので, 照射された朝鮮人参中には独立した4種のラジカル種が存在することが確認された。朝鮮人参微粒子による異方的ESR信号も観測された。これは朝鮮人参粉末中の異方的結晶構造の存在に由来する。
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