医学上の内部吸収線量測定のため, 螢光ガラス線量計用の測定装置を大幅に改良した。この装置および新たに開発された螢光ガラスFD-6を用い, 1mmφ×6mmのガラス素子で約3mradまでの低吸収線量の測定が可能になった。このことを500m
lビーカーによる水ファントムを用いて確かめた。
放射性医薬品を体内投与した場合, 直接人体の各臓器における吸収線量を測定するということの予備テストの1つとして13匹のラットを用い, 一連の実験を試みた。ラットの肝臓には1~2本のガラスロッドを埋め込み, その直後あるいは約40日後に3~50μCiの金コロイド (
198Au) を静注した。
ガラスロッドのうち数本は照射中金の鞘を被せ
198Auからのβおよびγ線による吸収線量への寄与を区別して測定できるようにした。ロッドは
198Au静注の約3日後に摘出し, 適当な洗浄処理を行なったのち, 放射線による螢光を測定した。
結果をMIRD (委員会) の方法に基づく吸収線量の計算値と比較した。水ファントムの実験では吸収線量の値は実験と計算とで良い一致をみたが, ラットを用いた実験では計算値は実験値より2~60倍高い値を示した。βおよびγ線による吸収線量への寄与の比は実験と計算とではさほどの食い違いはなかった。この問題について考察を行なった。
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