RADIOISOTOPES
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57 巻, 1 号
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原著
  • 東 達也, 伊藤 健吾, 鳥塚 莞爾
    2008 年 57 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/02/19
    ジャーナル オープンアクセス
    肝細胞癌,胆管癌,胆嚢癌におけるFDG-PETの臨床的有用性を判定するため,日本国内のPET施設に対し,FDG-PETの臨床的有用性に関するアンケート調査を行った。アンケートは症例単位で行われ,以下の各項目を調査した;年齢,性別,検査目的,臨床的有用性の判定とその理由。
    症例の詳細は肝細胞癌;42例,男性:33例,年齢59.1±14.8,女性:9例,年齢69.8±6.2,胆管癌;51例,男性:37例,年齢65.0±9.9,女性:14例,年齢67.9±6.2,胆嚢癌;20例,男性:11例,年齢66.5±8.4,女性:9例,年齢71.7±12.0。
    臨床的有用性は極めて有用(HU),有用(U),有用でない(NU)とし,A)鑑別診断,B)ステージング,再発診断,治療方針の決定のそれぞれについて判定した。
    結果はHCC:A)HU/U/NU:4/0/2症例,B)HU/U/NU:30/7/2症例;CCC:A)HU/U/NU:11/9/5症例,B)HU/U/NU:21/17/5症例;GBC:A)HU/U/NU:6/2/2症例,B)HU/U/NU:10/3/1症例で,「極めて有用」と「有用」が過半数を占め,疾患全体で有用と考えられた。
  • 加藤 克彦, 細野 眞, 伊藤 健吾, 岡田 真広, 米矢 吉宏, 任 誠雲, 土屋 典生, 鳥塚 莞爾
    2008 年 57 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/02/19
    ジャーナル オープンアクセス
    骨軟部腫瘍を対象にFDG-PETによる診断成績について全国アンケート調査を行い,7施設から20疾患75症例のデータが寄せられた。骨肉腫,ユーイング肉腫(原始神経外胚葉腫瘍を含む),脂肪肉腫,平滑筋肉腫,血管肉腫,横紋筋肉腫,骨巨細胞腫,神経鞘腫,悪性線維性組織球症,軟骨肉腫,胞巣状軟部肉腫,類上皮肉腫,内膜間質肉腫,Hibernoma,線維肉腫,多発性骨軟骨腫,仙骨脊索腫,ランゲルハンス細胞組織球症,神経線維腫症についてのデータを分析した結果,上記の疾患すべてについて,FDG-PETは有用性が高いと考えられた。
  • 鳥塚 達郎, 伊藤 健吾, 鳥塚 莞爾
    2008 年 57 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/02/19
    ジャーナル オープンアクセス
    FDG-PETの診断成績についての全国アンケート調査を行い,その集計結果より,胃癌(173例),十二指腸乳頭部癌(10例),GIST(消化管間葉系腫瘍:15例)の診断におけるFDG-PETの有用性について検討した。X線CT,MRIなどの従来の形態画像と比べて,胃癌の診断ではFDG-PETの「有用性が高い」が47.4%(82/173),「同程度である」が45.1%(78/173),「有用性が低い」が7.5%(13/173)であった。十二指腸乳頭部癌の診断ではそれぞれ20%(2/10),70%(7/10),10%(1/10)であり,GISTの診断では40%(6/15),46.7%(7/15),13.3%(2/15)であった。FDG-PETは原発巣では「有用性が高い」,転移巣及び再発巣では「有用」の診断成績が得られた。原発巣の診断では対象の大多数が進行胃癌であったことが比較的良好な結果に反映されていた。転移巣,再発巣の診断においては,FDG-PETは他の画像診断では評価困難な病変を検出することが認められており,FDG-PETの与える有用な情報によって不必要な手術が回避され入院期間が短縮されるといった医療経済効果も期待できると考えられた。
  • 鳥塚 莞爾, 伊藤 健吾
    2008 年 57 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/02/19
    ジャーナル オープンアクセス
    全国PET施設のアンケート調査の回答結果から保険適用外の18種類の腫瘍における[18F]FDG-PET(FDG-PET)の有用性を検討した。すなわち神経内分泌腫瘍(神経芽細胞腫,褐色細胞腫,カルチノイド),悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫,悪性腹膜中皮腫),泌尿器領域癌(腎細胞癌,尿管癌,膀胱癌,Wilms腫瘍),男性性器癌(前立腺癌,精巣癌),縦隔腫瘍,副腎腺腫,皮膚癌(悪性黒色腫を除く),乳房外Paget病,多発性骨髄腫,心臓内腫瘍(左心房悪性線維性組織球腫),脾臓腫瘍(脾臓血管腫)の18疾患,133例(男性98例,女性35例)における成績を検討した。「極めて有用」は神経芽細胞腫,悪性腹膜中皮腫,腎細胞癌,尿管癌,膀胱癌,Wilms腫瘍,副腎腺腫,乳房外Paget病,左心房悪性線維性組織球腫,脾臓血管腫の10疾患であり,「有用性が高い」はカルチノイド,悪性胸膜中皮腫,前立腺癌,皮膚癌,多発性骨髄腫の5疾患であり,「有用」は褐色細胞腫,精巣癌,縦隔腫瘍の3疾患であった。なお,報告された泌尿器科領域癌及び皮膚癌は全例,術後の症例で,再発・転移巣の有無の検索のためにFDG-PETが実施された症例であって,術後の経過観察にFDG-PET検査は極めて有用と考えられた。
  • 本田 憲業, 伊藤 健吾, 鳥塚 莞爾
    2008 年 57 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/02/19
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の健康保険において,[18F]FDG-PET及びPET/CT(以下PET/CT等)をすべての悪性腫瘍に適用を拡大した場合の医療費への影響を試算した。2004~2006年の3回の全国PET施設アンケート調査から,2008年の年間検査件数は275785件と推定した。同アンケート調査にて得られた,検査料の20%が削減された検査件数の割合と,PETとPET/CTの検査数比率とから,平均検査料を78350円とした。PET/CT等により悪性腫瘍の病期診断が精密化することにより,手術が27%減少すると仮定した。これらの仮定に基づくと,PET/CT等は3164258753円の医療費削減効果があると試算された。熟練した診断医の慎重なPET/CT等読影と,臨床病歴・身体所見・検査結果・他の画像診断,とりわけCT,とを総合的に判断して悪性腫瘍病期診断をいっそう正確なものとし,この病期診断に基づいて合理的な治療方針を決定することが,医療の質の向上と医療費節約に重要である。
ノート
総説
安定同位体利用技術
資料
連載講座
中性子イメージング技術の基礎と応用(基礎編第9回)
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