わが国で食品添加物として使用されているジフェニルの安全性評価のために, 標識ジフェニルの合成をおこなった。まず臭化ベンゼン-U-
14Cを原料として, 臭化フェニルマグネシウムを得た後, このグリニヤール試薬を無水テトラヒドロフラン中で臭化タリウム (I) の存在下, カップリング反応をおこなうことにより, 約94%の高収率で目的の
14C-ジフェニルを得ることができた。
合成した高比放射能の標識ジフェニルは, そのマウス肝ミクロソームへの結合研究を可能にした。
14C-ジフェニルは肝臓による代謝活性化後, 肝ミクロソームと共有結合を形成した。しかし著者らの実験条件下では, 誘導剤であるベンゾピレンとカネクロール (KC-500) 投与による影響は明らかではなかった。ここに報告したデータは, 食品添加物の安全性を評価する見地から, 非常に有用と考えられる。
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