HgI
2・2HgS (黄色) を日光に照射するとただちに黒色に変色し, 暗所におくか, 熱するとまたもとの黄色に戻る現象の機構については, 竹井により報告されている。黒化したものが黄色に戻る機構として, 焼出されたHgの熱による蒸発, および焼出されたHgがI, Sと反応してHgI
2, HgSをつくるためとしていた。しかし, Hgの蒸発については確認していなかった。そこで,
203Hg,
131Iで標識した, Hg
*I
2・2Hg
*S, HgI
*2・2HgSをつくり, 変色時のHg, I原子の挙動をしらべた。その結果, 黒化するとHgが焼出され, IはI
2ガスとなって結晶外へ逃げるが, 黒化したものを熱すると, 焼出しHgはただちに蒸発して, 結晶はただちに黄色に戻ることがわかった。室温, 暗所でゆっくり黒色のものを黄色に戻すときは, Hgは結晶表面に残るものと考えられる。
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