リン鉱石を原料とする各種リン酸肥料は, 高濃度のウランのほかトリウムやランタノイドを含んでいる。これら肥料の長年にわたる連用が, 水田環境に及ぼす影響を検討した。水田に負荷されたリン酸肥料由来のウラン, トリウムおよびランタノイドはほぼ全量土壌に吸着され, 河川水や地下水への移動, 水稲による吸収はきわめて少ないことが判明した。水田におけるこれら元素の収支を算定した結果, 10a当たり10年間に土壌に蓄積するウラン, トリウムおよびセリウムの量は, それぞれ49g, 1.4g, 9.7gとなった。±壌から玄米への元素の移行係数は2.2×10
-5 (Nd) -2.9×10
-4 (Th) の範囲であった。
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