ダイズにおける硝酸吸収と移行を調べるために, 同質遺伝子系統の根粒着生ダイズ (T202) と根粒非着生ダイズ (T201) を水耕栽培し,
13Nと
15Nトレーサ実験を行った。TIARA AVFサイクロトロンで作製した
13NO
3-を水耕培地へ投与した。第一本葉における吸収された
13Nの分布を, ポジトロンイメージング装置 (PETIS) とバイオイメージングアナライザ (BAS) を用いて観測した。
また, 別の実験では
15NO
3-を1時間供給し, 各器官の
15N増加量を発光分光法により定量した。放射能活性の二次元画像の経時的変化を, PETISにより観測でき, 植物全体における
13Nの分布をBASにより観察できた。しかし,
13Nの実験では定量的なデータを得るのは困難であった。安定同位体の
15Nによる分析は, 各々の器官における標識窒素の割合や量の定量的解析に有効であった。
15Nと
13Nトレーサ実験のデータを組み合わせることにより, 植物における窒素の吸収と移行がより明確になると期待される。
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