陸水系における
137Csの放射生態を明らかにする一端として, 自然界において高濃縮することが知られている魚類の濃縮機構を解明するため, そのモデルとしてキンギョ,
Carassius auratus auratus, を用い, 取込餌料 (放射性飼育水で
137Csを取り込ませたメダカ,
Oryzias latipes, 肉) と対照餌料 (
137CsClを添加したメダカ肉) からの
137Csの取込みと排せつを比較した。
全身における
137Csの取込み (濃度比) は, 時間の経過に比例して増加した。一方, その排せつ (残存率) は, 最初の数日間は急減し, その後漸減傾向を示した。生物学的半減期は, それぞれ約1.5日および52日であった。
臓器において, 内臓での取込量は筋肉より多い一方, その排せつ量も多く, 代謝回転速度が速かった。
今回の実験結果から, 自然界における魚類では,
137Csの取込みが事実上餌料から寄与するものと推定された。
餌料間の違いについては, 取込餌料投与による全身における取込みは, 飼育5日目までは対照餌料より低かったが, その後は差異は認められなかった。この差異については, 餌料の違いによる体内代謝の違いによるものと考えられる。
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