水溶液状態にある試料に14MeV中性子を照射し, Dy
2O
3ターゲットの誘導放射能から各試料における熱中性子透過率
T, を求め,
6Li,
10B,
113Cdの各濃度を求める方法を検討した。その結果, 濃度
C, に対して透過率
T, を片対数プロットすると直線関係を示した。この直線の勾配と全測定点の偏差から各同位体濃度を定量するさいの検出感度ならびに精度を算出して, それぞれ5×10
-3, 2×10
-3, 6×10
-4Mおよび標準偏差5.2, 5, 2, 4.5%を得た。また, この勾配と各同位体の熱中性子吸収断面積σ
absの間に直線関係が成立することから, 水溶液試料に対する熱中性子透過率を表わす一般式として,
T=I/I0=exp (-1.01×10
-21×σa
bs×
C) , (ただし,
Iは透過強度,
I0は入射強度) を得た。これによって, Li, B, Cdの同位体組成を測定することができる。
分析に対する妨害元素を検討した結果,
10B-Cl,
113Cd-Hg系における許容濃度はそれぞれ1.5, 0.04
Mであった。これに対して,
6Li-Na,
113Cd-Zn系では妨害しないことが判明した。
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