RADIOISOTOPES
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60 巻, 5 号
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原著
  • 東田 盛善, 佐竹 洋, 張 勁
    2011 年 60 巻 5 号 p. 203-213
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    南西諸島の13島(種子島,屋久島,中之島,奄美大島,徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄島,久米島,宮古島,石垣島,波照間島および与那国島;24°N~30°N)の地下水試料(134)と一月毎に採水した石垣島於茂登トンネル湧水の同位体組成を測定した。それらの島々の地下水のδDおよびδ18O値の平均値は-31~-20‰および-5.8~-4.5‰の範囲にあり,その値は緯度が高くなるにつれて減少した。δ18Oについての緯度効果は-0.14‰/N(deg.)と推定された。南西諸島地下水のδ18Oについての緯度効果は,本州よりも小さかったが,それは南西諸島に降水をもたらす気団に亜熱帯海域に起源を持つ水蒸気が持続的に補給されているためである。δ18Oについての温度効果は0.20‰/℃と推定された。また,採水高度によって求めたδ18Oについての高度効果は,九州最高峰の宮之浦岳(1935m)を擁する屋久島において0.10‰/100mであった。一月毎に採水された石垣島於茂登トンネル湧水のδDおよびδ18O値は,観測期間にはほとんど一定であったが,降水が地下水面に浸透する間によく混合されているためだと思われる。南西諸島の夏季降水のd値はほとんど同じ(約10)であるが,冬季には北部に位置する種子島,屋久島および中之島のその値(>25)は,それら以南の島々の値(<22)に比べて高くなることが推定された。
ノート
  • 佐藤 徹也, 焦 玉栄, 今泉 洋, 狩野 直樹
    2011 年 60 巻 5 号 p. 215-219
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    水素の放射性同位体であるトリチウム(T)はプロチウム(H)と化学的挙動が類似しており,トレーサとして用いられている。一つの応用例として,無機結晶中の結晶水の挙動を明らかにするためにこの方法を適用した。用いた試料は硫酸銅五水和物である。この化合物をT標識し,これを脱水することで結晶水の脱離の情報を得た。その結果,得られた観測値を基に物質量と比放射能の挙動とを相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)用いたT濃度の範囲では,加えたHTO水のT濃度は結晶水全体の挙動に影響を与えない。(2)硫酸銅五水和物は3種類のエネルギー的に異なる結晶水を持つことをTトレーサ法で確認できる。(3)結晶水のT濃度は配位する位置によって異なり,HTO分子は結合力の弱い位置には配位しにくい。(4)Tトレーサ法が物質中の結晶水の挙動を解明するのに役立つ。
総説
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