リアルタイムRIイメージングシステム(RRIS)は放射性同位体の非破壊イメージングに用いられており,その視野範囲はシンチレータの大きさと同等である。従来のRRISにおけるシンチレータ(fiber optic plate with scintillator; FOS)は高価で扱いにも注意を要し大型化が困難であったため,RRISの視野範囲は100×200 mmに限られてきた。本研究では,5種類の低価格で大型のプラスチックシンチレータの定量範囲などを評価し,プラスチックシンチレータを導入したRRISによって大型植物中の32P動態を解析できることを示した。
東京電力福島第一原発事故一年後のつくばと飯舘の地表大気中の放射性Cs(134Cs+137Cs)濃度を測定して,それぞれ10−5 Bq m−3,10−4 Bq m−3のレベルであった。飯舘では強風や局地的な除染時の土壌の再浮遊により時々高濃度を示した。2013年8月の高濃度現象は福島第一原発での瓦礫の撤去が原因と推定される。放射性Csエアロゾルの粒径は1.2 µmより大きく呼吸により肺胞まで達するが,その後は排出されると考えられる。
本実験は,器官形成期にある妊娠マウスを使って,低線量胎内被ばくの影響を,2次元電気泳動と質量分析を組み合わせた実験系から調べた。その結果,Ras GTPase-activating protein–binding protein 1とRho GDP-dissociation inhibitor 1が,3.7 MBq 33P-ATPの母親への投与により,胎児組織で著しく増加することがわかった。この時の,母親の注射部位周辺で,投与後3日間における総線量は約50 mGyであった。さらにこの生化学的変化が小頭症に関連するものかを確かめるために,PQBP1(Polyglutamine binding protein 1)発現をウエスタンブロット法で調べてみたところ,3.7 MBq投与により,胎児組織でPQBP1発現が抑制されており,低線量の内部被ばくでも小頭症が疑える変化が誘発されたことがわかった。
2004年~2007年における青森県太平洋沿岸の129I濃度の分布を観測し,水塊毎の129I平均濃度やその起源について検討した。水塊毎の129I濃度の平均値は(14~19)×106 atoms/Lであり,水塊間でわずかに異なっていた。各水塊の129I濃度は,129Iのグローバルフォールアウトレベルや宇宙線などによる生成量を考慮すると,欧州の再処理工場からの大気放出の影響が大きいと考えられ,それぞれの水塊が形成される海域の偏西風や気団の影響の違いを反映していると考えられる。
ヒドラジン還元・ポリオール還元・超音波照射・液中レーザーアブレーションなどの手法を用いた様々な鉄化合物ナノ粒子の合成が報告されている。通常は合成が困難であるフェロキシハイトと他元素ドープしたナノ複合体、さらに準安定相の硫化鉄などの合成が行なわれている。また、超音波照射や液中レーザーアブレーションによって炭化鉄ナノ粒子が合成されている。エックス線回折・電子顕微鏡観察の他、メスバウアー分光法によるキャラクタリゼーションについて解説する。