1) 牛肉から分離したアクチン区分ならびにミオシン区分に総量297×10
4rのγ線を照射後, 15°貯蔵中のこれら蛋白波の変化を比較検討した。
2) γ線照射直後のアクチン区分およびミオシン区分の蛋白波の場合には, いずれのそれら波形にも, 照射と非照射とによる著しい相違は認められなかった。これは, それら区分中の蛋白質はγ線照射によってほとんど変化していなかったことを示している。
3) 15°貯蔵後の非照射アクチン区分ならびに非照射または照射ミオシン区分の蛋白質の場合には, 貯蔵中それらの波形には著しい変化は見られなかった。しかし, 15°貯蔵後の照射アクチン区分の蛋白波の場合には, 15°貯蔵の進むにつれて, その波形やcrossing pointは著しく変化していった。これは, 15°貯蔵の進むにつれて, 照射アクチン区分中の蛋白質の構造もかなり変化していくことを示している。
4) これらの結果から見れば, 貯蔵過程における照射牛肉水抽出液蛋白波の波形の変化は, アクチン区分中の水溶性蛋白質の変化に原因しているものと考えられる。
本実験は当研究室員8名の助力によって遂行し得たものである。またγ線照射は理化学研究所応用化学研究室滝沢正男先生のご協力により達成し得たものであり, 牛肉試料は中央食品株式会社の提供によったものである。なお, 研究費の一部はロックフェラー財団の援助によったものである。あわせて感謝の意を表する。
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