燃料油中のイオウ分測定の迅速法として,
3H-Zr線源 (2.5Ci) の制動放射線を用いたX線吸収法を研究した。
透過放射線強度は, MX-118 (Mullard Co.) G-M計数管とスケーラーにより測定した。検量方式は定容積法を採用し, 試料容器には, ポリプロピレンフィルム袋 (厚さ50μ) を用いた。試料中のイオウ分は密度, 温度およびC/H比の補正操作と計数率とから, 標準アルミニウム板のX線計数率および標準純炭化水素, n-ヘプタンのβ線計数率とを用いて計算した0試料中のC/Hは, ストロンチウム-90β放射線源を用いて同じ装置で測定した。
得られた結果はつぎのとおりである。
1) イオウ分5%まで含むすべての燃料油に適用できる。
2) 測定に要する時間は, 計算を含めて約10~15分である。
3) イオウ分5%以下を含む標準試料の正確度はイオウ濃度の約1.7%であり, 燃料油の再現性精度はイオウ濃度の約1.3%である。
この方法の精度は, 燃焼管法 (燃焼ガスとしてO
2を用いる) またはボンブ法のそれに匹敵しうるものであり, あるいはそれ以上のものである。そのうえさらに, この方法では熟練または半熟練者にかかわらず, 上の測定精度が維持できる。
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