Naproxen〔
d-2- (6-methoxy-2-naphthyl) propionic acid〕のマウス, ラットおよびヒトにおける吸収, 身布, 排泄を
14C-標識naproxenを用いて検討した。
14C-naproxenを雄マウスに静脈内または経口投与し, 得られた全身オートラジオグラムから最も高い放射能濃度が血液中に示され, ついで肺, 肝, 腎に高く, 副腎皮質, 皮膚, 結合組織は中程度であったが, 胸腺および中枢神経系にはほとんど認められなかった。
胎児における放射能分布の様式は母体のそれに類似していたが, 投与後6時間ではそのほとんどが排泄されていた。
マウスおよびラット組織内の放射能分布を定量的に求めたところ, マウス全身オートラジオグラムの所見に類似して血中濃度が最も高かった。またラットにおける血中半減期は経口および静注とも約3時間であった。血中に存在する放射能の大半は未変化体で, 経口投与後のラットでは約97%が血清タンパクと結合し, また
in vitroにおけるヒト血清では約99%が結合したものであった。
14C-naproxenをラットへ経口投与後72時間尿および糞中に排泄された放射能は, それぞれ84%および11%であり, また24時間胆汁中には投与した放射能の48%が排泄された。ヒトでは経口投与後72時間までに放射能の約95%が尿中に排泄された。ラットにおける尿中放射能の約48%は6-hydroxyl naproxenであり, 約19%はその抱合体であった。またnaproxenの抱合体は31%であったが, 未変化体はわずか2%であった。一方, 胆汁中に排泄された未変化体および6-hydroxyl naproxenの割合はそれぞれ75%および1.3%であった。
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