RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
52 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 邸 乃力, 玉置 豊美
    2003 年 52 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    臭化鉄 (FeBr2) は, 典型的なIsing反強磁性体として, いろいろな測定手段で調べられている。メスバウアー分光測定では, ネール温度直下から磁気分裂によるスペクトルが観測され, 通常の反強磁性体の特徴を示していた。ところが, 最近, 著者らはネール温度近傍で, 常磁性成分と磁気分裂成分が共存している異常なスペクトルを観測した。
    本論文では, 2種類のFeBr2単結晶試料, 試料IM, 試料IIMについて, メスバウアー分光測定を行い, ネール温度近傍で異常なメスバウアースペクトルを認めた。著者らは, 測定したスペクトルについて, コンピュータフィッティングを行い, 常磁性成分がベストフィツティングスペクトルの全吸収面積に占める割合Ipの温度変化, 磁気分裂成分の超微細磁場Hhfの温度変化, 磁気分裂成分と常磁性成分の四極子分裂12・e2qQの温度変化などを求めた。
    磁気分裂成分のHhfの温度変化は一様であり, 異常の見られないFeBr2試料の示すHhfの温度変化とまったく同じであることがわかった。そのことは, 常磁性成分に寄与するスピングループが, 少し低温になるにつれて磁気分裂成分に組み込まれていくときに, あたかも同一のネール温度を持っているように振る舞っていることを意味する。つまり, 共存する常磁性成分は, ネール温度の分布を現しているものではないといえる。
    常磁性成分と磁気分裂成分が共存している温度範囲は, 試料IMでは約2K, 試料IIMでは約0.4Kであった。試料IIMの方が試料の純度が高いことを考えると, 異常の程度は, 試料の純度が低いほど大きいということがわかった。巨視的観測手段である磁化測定や交流帯磁率測定から, 試料の結晶化度や純度が低いほど異常の程度が大きいという結果が得られている。今回メスバウアー測定によって, 微視的にも同様の結果が示された。FeBr2には積層欠陥が多く存在していることが予想される。そのために, 隣接するスピンの受ける交換相互作用が普通の反強磁性秩序における交換相互作用とは異なり, このような異常な現象が現れたのではないかと, 著者らは考えている。
  • 泉 佳伸, 木南 雅利, 江間 喜美子, 西嶋 茂宏
    2003 年 52 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    温度応答性ハイドロゲル材料であるN-イソプロピルアクリルアミド (NIPAAm) の温度応答の機能性を損なうことなく力学的強度を向上させるために, 同時照射放射線重合法による汎用材料との複合化を試みた。NIPAAmは水溶液中で効率良く放射線重合し, ポリ塩化ビニル (PVC) フィルム表面に結合した。得られたグラフトフィルムを洗浄してもPVCに結合したNIPAAm部位は除去されず, PVCに温度応答変形作用が付与できることがわかった。
  • H. ソラント, 中西 友子, ラザック M.T.
    2003 年 52 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    インドネシアにおける乾燥地の食料不足ならびに米の代替品としての穀物品種を確保する目的のため, インドネシアでソルガム (Sorghum bicolor L.) の突然変異育種を行った。コバルトー60からのγ線を0.4kGy照射し, 第4世代 (M4) まで育種実験を行った。M2とM3の選抜は研究所で行い, M4については実際の乾燥地Yogyakarta Provinceで行った。種子の色から食糧および飼料に適する, 耐乾性かつ蛋白総量が高い有望品種が得られた。
  • ―キンギョ, Carassius auratus auratus, による飼育水中からの85Srのとりこみについて―
    三宅 定明, 出雲 義朗
    2003 年 52 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    陸水系における90Srの放射生態を明らかにする一端として, 自然界において高濃縮することが知られている魚類の濃縮機構を解明するため, そのモデルとしてキンギョ, Carassius auratus auratus, を用い, 飼育水中からの85Srのとりこみと排せつを調べた。
    全身における85Srのとりこみ (濃度比) は, 時間の経過にほぼ比例して増加する傾向を示し, 7日後の全身の濃度比は5.4±0.4 (平均±標準誤差) であった。一方, その排せつに関する残存率は, 最初の数日間の急減後, 漸減傾向を示し, 25日後には約75%に減少して, 生物学的半減期は, それぞれ約4日および205日であった。
    臓器では, とりこみ7日後の各臓器の濃度比は, 脊椎 (骨) (62.3) およびウロコ (31.3) が著しく高いほか, エラ12.5, 内臓0.6および筋肉0.4であり, 骨, ウロコおよびエラでのとりこみは内臓や筋肉より高かった。一方, 骨では25日後もほとんど排せつされないほか, ウロコおよびエラではとりこまれた85Srの40-51%が排せつされたのに対して, 内臓や筋肉では63-84%と比較的多く排せつされ, 臓器間における代謝回転速度の違いが明らかであった。
  • 阪元 重康, 小菅 大裕, 古田 定昭, 石森 有
    2003 年 52 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    This paper described experiments on the adsorption of radon gas on surfaces of various materials. The experiments were carried out on three kinds of materials : Poly (vinyl chloride), polyethylene and stainless steel. On stainless steel, adsorption was not detectable. On the other hand, there was clearly adsorption on poly (vinyl chloride) and polyethylene. A poly (vinyl chloride) sheet of one square meter surface in a 5.3 L container absorbed approximately 20% of the radon. Radon adsorption has to be taken into account when radon concentration measurements in the air.
  • ―ビートレッドの機能特性に及ぼす電子エネルギー (加速電圧) および線量率の影響―
    東村 豊, 古田 雅一, 多田 幹郎
    2003 年 52 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    In order to the practical use of radicidation of beet red, natural food colorant with low heat stability and high possibility of microbe contamination, we studied on the energy dependency and dose rate effect for the influence on functional properties of the beet red colorant.
    For the elucidation of energy dependency, the γ-ray (1.33 MeV) and electron beams with different accelerating voltages (0.75, 1, 2.5, 5 and 10 MeV) were used. The dose rate effect was studied under the different dose rate by using γ-ray (0.723, 1.91 and 4.55 kGy/h) and electron beams with accelerating voltage of 10 MeV (1.0×103, 2.6×103, 7.0×103, 2.0×104 and 5.0×104kGy/h) .
    The results obtained in this study showed that regardness of these energy and dose rate, the functional properties o f the beet red colorant were little affected by irradiation less than 25 kGy of ionizing radiations.
  • 湊 進, 池田 正, 柴山 元彦, 平賀 章三
    2003 年 52 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 河合 敏昭, 鈴木 克彦, 高瀬 欣治, 川上 博己, 望月 亮, 山口 孝一, 田中 越郎, 笠原 啓史, 福山 直人, 篠崎 芳郎, 盛 ...
    2003 年 52 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2003/01/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top