女鶴もちは, ねばりが強く, のびもよく, 食味も品質もすぐれて, 酒田・飽海地方で広く栽培されていたが, 稈が長く倒伏しやすく, 機械化された近代的な稲作には不適となり, 栽培面積が急減した。近年, 倒伏しない品種に改良して地域特産物としたいという要望があり, 突然変異育種によってその実現をはかった。
女鶴の乾燥種子に10, 20, 30kRの
60Coγ線を照射し, M3世代で80-85cm稈長の変異体を選抜した。その後, 生育, 地域適応性, 収量性, 品質などを総合的に検討し, 有望系統の選抜を繰り返した。M8世代でもっとも優れている1系統を選抜し, 酒田女鶴と命名した。この品種は, 親品種のすぐれた食味と品質を受け継いだまま, その欠点を改善して, 短稈で耐倒伏性を強めていた。これは2001年2月9日に新品種として登録され, 官報に公示された。同年度からは一般作付が開始され, 3haに栽培された。
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