排煙に含まれるCO
2の加速器質量分析(AMS)から燃料のバイオ炭素比を求めるにあたり,大気中
14CO
2の影響を調べた。バイオエタノール,化石由来n-ヘキサン,及びそれらの混合燃料を4ストロークエンジンで燃焼し,排気ガスからCO
2を捕集してAMS測定を行った。バイオ炭素比3.18%の試料において,大気中の
14CO
2の寄与を考慮しないASTM D6866法によるバイオ炭素比の計測値は理論値の1.2倍となった。この見積値の違いは,膨大な炭素量を算定する排出権取引に際しては無視できない。大気中の
14CO
2の寄与分を補正することでバイオ炭素比の計測値は理論値に近づいた。試料のバイオ燃料混合比が高くなるにつれてバイオ炭素比の計測値は理論値に収束し,大気中
14CO
2の影響は小さくなった。バイオ燃料混合率の低い燃料からの排煙を分析する場合,大気中
14CO
2の混入によるバイオ炭素比の増加は無視できない。
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