RADIOISOTOPES
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59 巻 , 6 号
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原著
  • 市毛 秀明, 箕川 光, 寺腰 直人, 野口 正安
    2010 年 59 巻 6 号 p. 367-378
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    原子力発電所の解体等で発生したコンクリート廃棄物には中性子放射化により41Caが含まれる場合があり,廃棄物の埋設処分にあたっては安全評価上41Caが重要核種になるかどうか評価・確認が必要である。この41Caを含む廃棄物について,低エネルギー光子用Geスペクトロメータを用いて放射能濃度を決定する方法について検討した。本検討にあたり41Caの標準線源は製造されていないことから,55Fe放射能標準溶液を用いて55Fe標準試料を作成し,両核種のX線減弱係数の違いによる各種の補正を行って41Caに対する効率を求める方法を用いた。本法による放射能濃度の検出下限は,1000~80000秒の測定時間でクリアランスレベル(41Ca:100Bq/g)のほぼ1/5~1/60が確認できたことから,加速器質量分析器など高価な装置を用いる方法に比べ,簡便かつ低コストのコンクリート廃棄物の41Ca分析方法としての実用性が証明された。
ノート
  • 片岡 憲昭, 今泉 洋, 斎藤 弘, 佐藤 貴之, 狩野 直樹
    2010 年 59 巻 6 号 p. 379-386
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響と水素を含む化合物との反応性を定量的に評価するために,L-ノルバリンとHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気系で観測した。得られたデータにA″-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数を求めた。これらの速度定数を相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)L-ノルバリンの官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)L-ノルバリンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基>NH2基であり,COOH基の反応性はNH2基のそれの約2.2倍である。(3)COOH基の反応性に及ぼす置換基の影響はNH2基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(4)アミノ酸の反応性はTaft式に従うと考えられる。(5)Taft式を適用すると,L-ノルバリンの反応性に与えるアミノ酸の極性効果と立体効果の影響はNH2基では10:0,COOH基では3:7である。(6)A″-McKayプロット法を使うことで,Tの挙動をマスク剤なしで非破壊的,定量的に複数の官能基を持つ物質を各官能基別に同時解析することができる。(7)本研究で用いた手法は,物質における官能基の反応性を迅速に求めるための手法として役立つことが期待される。
資料
  • 伊藤 博, 柳澤 文孝, 本山 玲美, 上田 晃, 矢吹 貞代, 金井 豊, 赤田 尚史
    2010 年 59 巻 6 号 p. 387-394
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    中国の乾燥・半乾燥地域に分布する沙漠砂・レスに含まれる硫酸塩の硫黄同位体比の分析を行った。その結果,タクラマカン沙漠とその周辺地域の硫黄同位体比は+4.08~+29.5‰の範囲であり,沙漠内に比べ,周辺山岳地帯で採取された試料が高い同位体比を示す傾向にあった。ジュンガル盆地―トルファン盆地は+3.59~+9.05‰の範囲であり,トルファン盆地に比べてジュンガル盆地が低い同位体比を示していた。また,この地域で採取された蒸発岩は+10.45~+10.98‰と高い同位体比を示した。チャイダム盆地―ムウス沙漠は+4.18~+22.0‰の範囲であり,中国東北部ナイマン周辺では+8.80‰,-0.66‰の二つの結果が得られた。
連載講座
中性子回折の基礎と応用(基礎6)
  • 柴山 充弘
    2010 年 59 巻 6 号 p. 395-403
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    中性子小角散乱(SANS)が構造解析などに使われるようになってから既に30余年経過した。今では,構造解析の汎用ツールの一つになっており,世界中の主な中性子散乱研究施設で必須の測定装置になっている。とくに,高分子,ミセル,ゲルなどのソフトマターと呼ばれる物質や生物学,金属学の分野における構造解析において中性子小角散乱の役割は大きい。ここでは,なぜ中性子散乱がこうした物質の構造解析に有効であり,どのようなところで実験ができ,その結果,どのような成果が出てきているのか,また出しうるのかについて解説する。
中性子回折の基礎と応用(応用15)
  • 佐藤 衛
    2010 年 59 巻 6 号 p. 405-414
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/29
    ジャーナル オープンアクセス
    溶液散乱法は溶液中の生体高分子の構造やその構造変化を観測する手法として古くから用いられてきたが,近年,溶液散乱の強度分布から直接構造モデルが構築できる解析法が開発され,生体高分子の低分解能溶液構造解析に有効な手段になっている。本稿では,EMBLのSvergun博士によって開発されたDummy Atomを使って生体高分子の溶液構造(Dummy Atom Model:DAM)を解析する方法を概説する。この方法では,まず初期のDAMを構築し,DAMから理論的に計算される散乱強度と実測の散乱強度の差をSimulated Annealing法により最小化して実測の散乱強度に最もよく一致するDAMを生体高分子の低分解能溶液構造とする。更に,本稿ではこの方法の有効性をX線結晶構造解析された蛋白質分子を用いて評価するとともに,中性子とX線の違いを物質との相互作用の点から明らかにし,高温・高圧下や様々な溶媒条件下における生体高分子の構造解析に関して中性子溶液散乱法とX線溶液散乱法のそれぞれ特長について概説する。
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