ソヨウ, センナ, ケイヒ, オウバク, ニンジン, カンゾウ, シャクヤク, ショウキョウにEB照射 (5MeV, 10kGy) し, 発生する有機フリーラジカルをESR測定により検出した。未照射の生薬には
g=2.005付近に一重線スペクトルが検出され, 葉類生薬でスピン濃度が高かった。照射後,
g=2.005付近のシグナル強度は増大し, その3mT脇に新たなサブシグナルが検出された。また, 照射した根類生薬では, 線形の広がった非対称な分裂シグナルが検出された。照射生薬の有機成分に捕獲されるラジカル数は, 含水量に対して減少傾向を示した。照射後, シグナル強度は減衰し, 約1~2か月で定常状態となった。しかし, 照射後に見られるESRシグナル形状の特異性は, 葉類生薬では6か月間, 樹皮及び根類生薬では1年間にわたり検出された。したがって, ESR法は照射生薬の検知の第1スクリーニング法として適用し得ると考える。
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