RADIOISOTOPES
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57 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 上松 敬, 花屋 博秋, 小嶋 拓治
    2008 年 57 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    材料科学やバイオ技術の研究開発ではサイクロトロンのイオンビームを大面積に均一に照射する必要がある。そこで,飛程の短い重イオンビームにも応用可能なGafフィルム線量計HD-810(表面保護層:0.75μm,感受層:6.5μm)と,携帯可能なパソコン用スキャナ(光学分解能:5.3μm)を組合せ,簡便で高空間分解能な2次元線量相対分布測定システムを開発した。本システムでは,スキャナデータのRGB色成分で線量応答感度が違うことに着目し,線量が予測しにくいスポットビームでも,1回の照射だけで線量測定可能範囲内の色成分を選択し解析することにより相対分布測定を可能にした。また,CCDとCIS(3LED)の二方式のスキャナの特性を測定した結果,線量応答値は機種により異なるが,0~数百Gyの領域でリニアであった。これから,いずれの市販スキャナでも,予め校正用フィルムで応答曲線を作成することにより,2次元線量相対分布測定システムを構成可能であることを示した。
  • 柿本 彩七, 瀧 景子, 中島 徹夫, 王 冰, 田中 薫, VARES Guillaume, 呉 健羽, 酒井 一夫, 齋藤 俊行, 小島 ...
    2008 年 57 巻 2 号 p. 99-110
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    放射線適応応答は,予め低線量放射線(priming dose)を照射しておくことで,その後の中・高線量放射線に対する抵抗性を獲得する生体の防御的反応である。放射線適応応答は,低線量放射線が中高線量放射線とは質的に異なる影響を生体に及ぼすことを意味しており,低線量放射線のリスクを評価する上で重要な生命現象である。本研究では,ヒトリンパ芽球由来細胞AHH-1におけるHPRT遺伝子座突然変異を指標とした放射線適応応答の分子機構を解析した。まず,3GyのX線照射後のHPRT遺伝子座における突然変異頻度が0.02Gyから0.2Gyのpriming dose照射によって有意に低下することを観察した。一方,0.005Gyの事前照射では有意な適応応答が観察されなかったことから,priming doseの下限が0.005Gyと0.02Gyの間にあることが示唆された。次に,poly(ADP-ribose)polymerase 1の阻害剤である3-aminobenzamide(3AB)は染色体異常を指標とした放射線適応応答を阻害することが報告されているが,本研究では3AB存在下でも突然変異を指標とした場合に有意な適応応答が観察された。このことから,細胞の違いに原因がある可能性は排除できないものの,指標によって異なるメカニズムが機能していることが示唆された。更に,HiCEP(high coverage expression profilling)法を用いて遺伝子発現変化の網羅的解析を行った。その結果,0.02Gy照射6時間後に有意に発現変動する遺伝子17個が検出された。また,priming doseがchallenge doseに対する応答に影響している可能性を考えて,3Gy照射後3時間及び18時間における遺伝子発現を0.02Gyの事前照射をした場合と照射しない場合で比較した。その結果,3Gy照射後3時間では17個,18時間では20個の遺伝子の発現変動が観察された。遺伝子の機能検索を行った結果,MAPキナーゼを介する細胞内情報伝達関連遺伝子や酸化還元関連遺伝子等が放射線適応応答に相関して発現変動していることがわかり,放射線適応応答の一因を担う可能性が考えられた。
  • 藤野 秀樹, 朝原 庸光, 木全 秀樹, 立石 満, 小出 高志, 馬場 茂雄
    2008 年 57 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    50μm厚に薄切した全身切片を147Pm面線源及びイメージングプレートと共にコンタクトし,BASシステムによるラジオルミノグラフィー法にて骨密度を評価した。アルミニウムを用いた検量線は広い密度範囲で輝尽発光値との良好な直線性を示し(R2≧0.999),かつ良好な再現性を示した(CV≦3.7%)。更に骨粗鬆症モデルである卵巣摘出(OVX)ラットを作成し,大腿骨,寛骨及び脊柱の骨密度を擬似手術(Sham)群と共に評価した。OVX群は大腿骨の皮質骨部並びに海綿骨部において有意な骨密度低下を示した。しかしながら,大腿骨の骨髄部ではsham群との密度変化は認められなかった。一方,脊柱において骨全体では骨密度の変化は認められなかったが,海綿骨では有意な骨密度低下を示した。これらの成績より,本法はラジオルミノグラフィーとして骨密度を評価することが可能であると考えられた。
総説
安定同位体利用技術
資料
ライフサイエンスのためのアイソトープ測定機器(第五シリーズ)“ライフサイエンスにおけるイメージング”
連載講座
中性子イメージング技術の基礎と応用(基礎編第10回)
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