1) アルブミン溶液のγ線による影響をポーラログラフ蛋白波によって調べた。参考として紫外部吸収, 色調, 臭気, pHの変化などを観察した。
2) 実験範囲は0.2~1.0%アルブミン水溶液, 照射r数0~80・10
4rである。
3) 色調は32・10
4r照射のものより淡黄色を生じ, 臭気は照射臭と考えられるものが24・10
4r照射のものより生じ, 照射量を増すと明らかとなる。pHについては著しい変化は認められない。
4) 蛋白波はγ線照射によって波高を減じ, とくに79.7・10
4r照射のものに著しい減少を見, アルブミンがこの程度の照射r数て急激な変化を起すことがわかり, 恐らく分子内の会合によるものと推定した。しかし沈殿は生じなかった。低濃度の場合の方が影響が著しいようである。
5) 280mμの紫外部吸収は漸増の傾向にあり, 濃度の低い場合が著しく, 蛋白波の場合と同様低濃度の方が影響の著しいことが明らかとなった。
終りにこの実験に終始御懇篤な御指導を賜った京都大学教授舘勇博士, 有益な御忠言を戴いた本学, 小坂部勇博士, γ線照射に種々御配慮を戴いた理化学研究所, 並木満夫, 岡沢精茂の諸氏に深甚の謝意を表す。この研究の一部は文部省科学研究費によった。付記して謝意を表す。
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