1) ニンジン根から組織をとり出し, X線を3, 000, 6, 000および9, 000R照射後, ただちに, 培養を開始した。
2) 培養後, 7日, 14日, 21日に生体重, DNA, RNA, タンパク含量を測定した。
3) 生体重は14日以後に照射の影響が現われた。3, 000および6, 000Rでは培養日数とともに増加したが, 9, 000Rでは増加が認められなかった。
4) 無照射区のDNAは日数とともに増加したが, 照射区ではDNA含量にまったく増加が認められなかつた。
5) RNAについては, 14日以後に照射の効果が現われた。DNAほど顕著ではなかった。
6) タンパク含量は, 生体重と同様な傾向で増加した。3, 000Rではタンパク合成に阻害がみられず, むしろ促進が観察された。
7) 組織学的観察により, 照射組織は分裂組織を含まず, 細胞は大きくなり, 液胞化し, かつ均一化する傾向を示した。
8) 以上のことから, 照射によって細胞分裂が抑制されても, まだ, 代謝がおこなわれ, それによって細胞伸長が行なわれていることが結論される。
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