殺虫剤の吸収, 体内分布の解明にゴキブリを対象として, 全身オートラジオグラフィをおこない, 神経節や消化管などの微小臓器への移行を解像力良く観察することができた。γ-BHC-
14Cは点滴部位から速やかに吸収され, 神経節周辺, 胃盲嚢および中腸への移行が著明にみられたが, β-BHC-
14Cは吸収が悪く, 大部分点滴部位に残留し, 一部吸収されたものは速やかに排泄された。両者の分布の差はその脂溶性の差によるものと思われる。γ-BHCの中枢神経系への移行は周辺部のみに限られ, 内部へのとりこみはみられなかったが, nicotine-
3Hと比較した結果, nicotineでは速やかに中枢神経系全体に高濃度に移行し, また〓嚢壁の分泌も特異的であった。代謝産物はγ-BHCで水溶性成分をわずかに認め, 他は大部分原物質のままであった。この方法は殺虫剤などの研究にきわめて有用であると思われる。
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