RADIOISOTOPES
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59 巻 , 5 号
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原著
  • 山崎 佑樹, 今泉 洋, 狩野 直樹
    2010 年 59 巻 5 号 p. 311-318
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響と水素を含む種々の化合物の反応性とを明らかにするため,ベンズアルデヒド誘導体とT標識されたポリビニルアルコールとの間における水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を50~90℃の温度範囲で観測した。その結果,反応時間の経過と共にこの誘導体の放射能の増加が認められた。得られた観測値にA″-McKayプロット法を適用することで,各誘導体の官能基の速度定数(k)を求めた。これらのkを相互比較することで,以下の六つが明らかとなった。(1)各物質の反応性には温度依存性がある。(2)ベンズアルデヒド誘導体の温度依存性はo-体>m-体>p-体の順になる傾向にある。(3)各置換基がその物質の反応性に与える影響はクロロ基とフルオロ基の置換基に対し,o-位>m-位>p-位の順になる傾向にある。(4)各置換基がその物質の反応性に与える影響はフルオロ基の方がクロロ基よりも高い。(5)A″-McKayプロット法とHammett則とを使うことで,ベンズアルデヒド誘導体中のホルミル基の反応性を推定することができる。(6)本研究で行った種々の手法は,T汚染の防止や環境に及ぼすTの影響評価を行うための手法として期待できる。
技術報告
総説
  • 小須田 茂
    2010 年 59 巻 5 号 p. 329-339
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    99mTc供給不足という厳しい状況で,99mTc標識放射性医薬品を列挙し,その臨床的有用性を述べた。我が国での99mTc製剤の供給と99Mo/99mTcジェネレータ販売実績を経時的に記述した。一体型SPECT/CT装置は2核種同時収集と機能,形態の両方の情報が得られるため,更なる普及が望まれる。パリで開催されたOECD/NEA要旨とトロントで開催された第56回米国核医学会議での記者会見を紹介し,現在の問題点,取り組むべき課題を提示した。埼玉県内で施行されたアンケート調査では,99Moの国産化などが99mTc供給不足の解決策として挙げられた。これに関連して,JMTRでの99Mo国産化計画が現在,進行中であることを紹介した。99mTcの安定供給を確立した上で今後核医学が発展するための課題として,半導体検出器を用いた一体型SPECT/CT装置の開発,新しい放射性医薬品の臨床応用,従来のSPECT検査の再評価などを挙げた。
連載講座
中性子回折の基礎と応用(応用13)
  • 福永 俊晴
    2010 年 59 巻 5 号 p. 341-354
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/28
    ジャーナル オープンアクセス
    非晶質合金や水素吸蔵非晶質合金の研究は中性子回折やX線回折の特徴を活用し,かつ回折データを基にしたリバースモンテカルロ(RMC)法を用いて3次元原子配列を導き出して進められている。特に非晶質合金では非晶質の安定性と構造の関係を明らかにするために,安定性の異なるNi-Zr並びにCu-Zr非晶質合金の構造の特徴の違いが調べられた。その結果,Ni-Zr非晶質合金には三角プリズム構造ユニットが多く存在するが,Cu-Zr非晶質合金には二十面体構造ユニットが多く存在することが明らかになっている。更に,Ni-Zr非晶質合金に第3添加元素としてAlを添加すると安定化が増すが,構造学的にはAl添加により三角プリズム構造が減少し,二十面体構造が増加することが明らかにされた。これらの結果は非晶質構造の安定化には二十面体構造が大きな役割を果たしていることを示している。また,中性子回折は水素吸蔵合金中に存在する水素を観察する手段として適している。この特徴を使って,TbFe2とTbNi2水素吸蔵合金の水素の位置を観察した結果,吸蔵された98%の水素は金属原子が形成する四面体の中に位置しており,それが非晶質構造を安定化させている要因であると推察される。
中性子回折の基礎と応用(応用14)
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