低速陽電子ビームを用いた陽電子消滅γ線測定法によりさまざまな気孔率をもつメゾポーラスシリカ薄膜中のポジトロニウム (Ps) の挙動を調べた。薄膜はスパッタ堆積法にて調製し, 気孔率は堆積中のアルゴンガス圧力により制御した。気孔率は波長630nmの可視光における屈折率により評価した。陽電子3光子消滅分率 (
I3γ) および消滅γ線ドップラー広がり (
Sパラメータ) は屈折率と相関があることが見いだされた。600℃におけるアニールにより, 屈折率, すなわち, 細孔構造には大きな変化が見られなかったが, シリカマトリックス中の欠陥減少に伴うPs生成率の増加に起因する
I3γおよび
Sパラメータの増加が観測された。
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