伊豆弧の火山である神津島,新島及び東伊豆単性火山群から噴出した流紋岩中の
230Th/
238Uと
226Ra/
230Th放射能強度比を観測した。伊豆弧の火山から噴出した玄武岩は,
238U-
230Th-
226Ra間が
230Thに比べて
238Uと
226Raが多い放射非平衡であるが,伊豆弧の火山から噴出した流紋岩は,ほとんどが
238U=
230Th=
226Raの放射平衡の状態に収束していた。伊豆弧の流紋岩質マグマ中で
238U-
230Th間と
230Th-
226Ra間が放射平衡に達していることは,伊豆弧の流紋岩が
238U-
230Th-
226Ra間ですでに平衡に達している地殻が高温の玄武岩質マグマによって部分溶融して発生したものであるという最近の岩石学的研究結果とも合致している。
230Thが
238Uより濃縮していることを示す流紋岩試料は,
230Th>
238Uの非平衡にある若い海底堆積物がマグマの発生に関わっていたのかもしれない。
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