RADIOISOTOPES

原著

^99mTc標識放射性医薬品の迅速かつ簡便な放射化学的純度測定法に関する検討

横塚記代, 冨沢比呂之, 佐々木博

2012 年 61 巻 7 号 p. 353-364
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.353

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^99mTc標識放射性医薬品の品質管理である放射化学的純度測定の迅速で簡便な方法を検討した。^99mTc-HMDPでは1M塩化アンモニウム/1M尿素/酢酸(70：28：2)と高性能セルロース薄層板のクロマトグラフィは2M塩化アンモニウム/10M尿素/酢酸(49：49：2)とセルロース薄層板よりも4倍，^99mTc-HSAでは100％アセトンとろ紙の場合は75％メタノールよりも16倍速く実施できた。

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ノート

マルチワイヤーチェンバーによる楓葉の2次元影像

小濱太郎, 石原信弘, 小俣和夫, 山田善一, 喜多村章一

2012 年 61 巻 7 号 p. 365-371
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.365

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素粒子，原子核実験の分野で広く使用されているマルチワイヤーチェンバー(multi-wire chamber)を進展させ，アノードワイヤーのピッチp_aを狭く(1mm)にし，位置精度のよいチェンバーを試作した。アノードワイヤー面とグリッドワイヤー面は平行で，簡易に2次元的情報を得るようワイヤーの方向は互いに直角にした。
設計にあたっては経験やシミュレーションに頼らず，電磁気学の基本に立ち，チェンバーの諸特性を解析的に求めた。信号の読み出しには独特の荷電分割法を開発し，信号は計4個のプリアンプで処理した。チェンバーの性能確認には，²⁴¹Amから放出されるα線を使って「楓の葉」をサンプルにして影像を描かせて行った。
アノードワイヤーのピッチが狭くてもチェンバーは稼働する。主要な特性を解析的に設計したチェンバーで平面スクリーン上に2次元的に，鮮明な「楓の葉」を映し出すことができた。

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速報

福島第一原発事故が及ぼしたセシウム起源空間放射線量率の福島県における経時変化と場所依存性

飽本一裕

2012 年 61 巻 7 号 p. 373-378
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.373

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福島第一原発事故により汚染された福島県中・東部155か所における2011年6月10日以降の約半年(178日)間にわたるCs起源の空間放射線量率データを解析し，放射線量率の平均減少率22±2％(半減期換算で約1.4年)を得た。これは放射性崩壊理論から求まる期間減少率11％の約2倍のペースで，残り11％は主にウェザリング効果である。大半の地点において理論値以上のペースで線量率が減衰したが，強いウェザリング効果のため，線量率の減少率は季節に依存する傾向がある。線量率が不変ないし増加した地点，つまり，2次汚染地点も浪江町や南相馬市を中心に5％程度ある。

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総説

温暖化が及ぼす極付近の氷の危機

石井吉之

2012 年 61 巻 7 号 p. 379-383
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.379

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大陸氷床コアから読み取られた地球の古環境変化と，地球温暖化に伴う雪氷圏の変容について，最近の研究成果の一端を解説した。南極氷床のドームふじ基地では2503mと3035mの深層氷床コアが掘削され，34ないし72万年前からの氷期と間氷期の繰り返しや周期的な気温変化が確認された。地球温暖化に伴う雪氷圏の変容は北半球で著しく，海氷面積の縮小や氷河の後退，永久凍土の縮退が報じられているが，科学的議論の基礎となる観測データの蓄積が今後も望まれる。

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国産化⁹⁹Mo/^99mTcの医療運用に向けての課題
―研究用原子炉を用いる⁹⁹Mo/^99mTc国産化の課題―

遠藤啓吾, 井戸達雄

2012 年 61 巻 7 号 p. 385-387
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.385

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国産化⁹⁹Mo/^99mTcの医療運用に向けての課題
―医療用⁹⁹Mo原料の国産化に向けての現状と課題―

中村吉秀

2012 年 61 巻 7 号 p. 389-397
発行日: 2012年
公開日: 2012/07/28

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.61.389

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世界の⁹⁹Moの95％以上を生産していた5基の研究炉のうち，カナダのNRU炉とオランダHFR炉が2009年から2010年にかけて稼働停止し，世界的な⁹⁹Mo供給危機の状態が続いた。現在は順調な供給状態となっているが，5基のいずれもが稼働後約50年が経過しており，将来的な供給の安定性を確保するには，対策が不可欠となっている。我が国でも，原子炉による⁹⁸Moの中性子放射化法や加速器を用いる方法による国内製造の検討が対策の一つとして進められているが，⁹⁹Moの比放射能が核分裂法と比較して極端に低いため，製剤化までの実用的プロセスも併せて開発しなければならない。

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