RADIOISOTOPES
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62 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
ノート
  • 二瓶 直登, 田野井 慶太朗, 中西 友子
    2013 年 62 巻 5 号 p. 269-274
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    アミノ酸を窒素源として供試した植物生育への影響を解明するために,2種類のアミノ酸(グルタミンとバリン)をイネ幼植物へそれぞれ単独で供試した。15N,13C-二重標識アミノ酸を用いた結果,溶液の15N減少量とイネ幼植物の15N蓄積量はほぼ同等であったが,溶液の13C減少量はイネ幼植物の13C蓄積量より多かった。これは,吸収したアミノ酸が植物体内で代謝され,窒素は同化して植物体内に蓄積するが,炭素の一部は呼吸経路を経て二酸化炭素として植物外へ放出されたためと推察される。さらに,溶液の13C減少量とイネ幼植物の13C蓄積量の差がバリンよりグルタミンで大きかったのは,アミノ酸別の代謝の進み具合が,グルタミンの方が円滑であるためと推測され,このことが生育にも影響していると考えられた。
速報
  • 遠藤 亮太, 門倉 久恵, 田中 希義, 生形 省次, 津布楽 洋和, 尾崎 泰弘
    2013 年 62 巻 5 号 p. 275-280
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    土壌の交換態放射性セシウム濃度と土壌の交換態カリウム濃度が,トマトの放射性セシウム吸収に関与する重要な因子であることを明らかにした。2011年夏に,福島第一原子力発電所から半径100km圏内の14試験圃場で,加工用トマトの放射性セシウム移行係数及び,吸収に関与する因子を調査した。放射性セシウム移行係数は0.00031~0.0072で,圃場ごとで異なった。土壌の交換態放射性セシウム濃度と果実の放射性セシウム濃度に正の相関(r=0.77,p<0.01)が,土壌の交換態カリウム濃度と果実への放射性セシウム移行係数に,負の相関(ρ=-0.65,p<0.05)が認められた。重回帰分析の結果,土壌の交換態放射性セシウム濃度,土壌の交換態カリウム濃度で果実の放射性セシウム濃度(Y)の73%を説明できることがわかった。カリウム1.5倍増肥区と慣行施肥区の移行係数を比較した結果,土壌の交換態カリウム濃度が低い圃場でのみ,カリウム増肥で移行係数が低下した。
    以上の結果から,土壌の交換態放射性セシウム濃度と交換態カリウム濃度は,トマトの放射性セシウム吸収に関与する重要な因子であることがわかった。また,土壌の交換態カリウム濃度が低い圃場ではカリウムを増肥することで,放射性セシウム吸収量を低減できることが示唆された。
  • 高瀬 つぎ子, 高貝 慶隆, 内田 守譜, 難波 謙二, 大槻 勤, 村松 康行
    2013 年 62 巻 5 号 p. 281-290
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/29
    ジャーナル オープンアクセス
    福島第一原子力発電所の事故は,福島県東部の広範な地域に,放射性セシウムによる環境汚染をもたらした。本研究では,汚染された餌を摂取したウシの血液中と内臓組織中の137Cs濃度を測定し,コンパートメントモデルによる解析を行った。その結果,血液と内臓組織に含まれる137Cs濃度には,線形相関が存在することが明らかになった。また,内臓組織中での137Csの蓄積性(aiE/aEi)を推計したところ,137Csは,筋肉に蓄積しやすいことが明らかになった。
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