14C標識薬物をトレーサとし,低バックグラウンド液体シンチレーション計数法を検出法として用いる,ヒトにおける薬物動態試験では,
14C投与量(Bq/kg)が動物実験の場合に比べて著しく低いので,バックグラウンド値(BG)の変動が精度により大きな影響を及ぼす。本報では,尿5mLを試料とし,20mLバイアルを用いて,ヒトにおける尿中
14C放射能の日内変動,日間変動,個人差及び計数効率の変動などを研究した。尿中には
14Cに比較して約30倍量の
40Kの放射能が存在するので,
14Cの最適ウインドウで計数することによって
40Kの影響をできるだけ小さくすることが肝要である。計数効率の変動は内部標準添加法によって校正できる。尿中内因性
14C濃度におけるこれらの変動は比較的小さいので,服用前日の同じ時間帯で採取した試料をBGとして処理することによって十分に高い精度が得られることを明らかにした。
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