新潟県における降水の起源,供給経路及び地域的・季節的特徴について把握するため,新潟県降水の酸素安定同位体比(δ
18O)の短期間での経時変動が年変動,季節変動とともに調査された。降水は,1999年から2008年まで,主として新潟大学屋上において,ろ過式採水装置により採水された。更に,連続採取降雨については,後方流跡線による解析も併せて行った。
その結果,新潟県における降水について,主として以下のような特徴が明らかになった。(1)δ
18O値は,-25.14‰~-1.60‰の変動を示す。なお,各年の平均値は,-8.37‰(2006年)~-7.33‰(2001年)であった。(2)地域間の比較では,臨海地域(新潟市,上越市)あるいは海洋地域(佐渡市)のδ
18Oの平均値は,内陸地域(下田村,長岡市)に比べて,高い値を示す。(3)δ
18O値は,概して,梅雨期に低く,夏期に相対的に高く,冬期に低い値を示す傾向が見られた。(4)連続採取降雨では,Rayleighの蒸留モデルから予想されるように,時間とともにδ
18Oが下降する傾向が主要な特徴で,特に台風時の試料においては,そのような傾向を示した。
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