被服における光沢を検討する場合, 量的面のみでなく質的考慮が必要である.光沢の質的問題を明らかにするため, まず合成皮革を取りあげて実験を行ない, 官能検査に対応する光学測定結果の解析を試みた.
その結果, 官能検査における皮らしさと快よい光沢との間には, よい相関性が認められた.
官能検査と光学測定との関連性は, 皮らしさと視覚心理の立場から求めた数値Lとの相関は比較的低い.しかし, 皮らしさと, (顕微光沢度曲線の全長) / (山の数) より得られた数値との間には, 高い相関性が認められた.
皮らしいと判定された試料の顕微光沢度曲線は, 起伏がはげしく, しかも間隔が狭い型で, 自己相関はあまり認められない.一方, 皮らしくないものは, なめらかな曲線を示し周期性もない.皮らしさの中位のものは, 比較的起伏のある曲線で, 自己相関が認められた.
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