炭粉末と天然バインダー(ロジン)をボールミル(炭粉末/ロジン混合比=80/20)で混合した後,混合物を用いて圧縮成形を施し,炭粉末成形体を作製した.その後,エポキシ樹脂を含浸したアラミド系平面四軸織物を炭成形体へ被覆させて四軸織物強化炭成形体を得た.エポキシ樹脂1.8重量%を含浸した四軸織物で強化した炭成形体の曲げ強さは,炭成形体の8倍程度の値となった.また,曲げ強さの向上と共に水蒸気吸着性,ホルムアルデヒド吸着性の性能低下を抑制することがで きた.さらに,穴開けが不可能であった素材に対して,四軸織物を被覆するとドリルによる穴開け加工が可能となり大幅な強度向上が得られた.
乳がん術後女性のブラジャーと補整パッドの不具合解決にむけた指針を得ることを目的に研究を行った.被験者は,胸部形状に左右差のある乳がん術後女性12名(右全摘4名,左全摘4名,温存4名)である.実験1では適合したブラジャー(My ブラ)と補整パッド(My パッド)を,実験2ではMy ブラに同一型で重量の異なる補整パッド(トライアングル型シリコンパッド)6 種を試料とした. 実験1:全摘の被験者は,肩がこる,左右のバランスが気になる,全体的な圧迫感があると,半数以上が訴えた.パッドを装着しない時の重心は,多くの事例で術側にあったが,パッドを装着すると健側方向に変位した.実験2:全体の衣服圧はパッドの重量増加で高くなったが,特に術側の衣服圧が増加した.また,被験者はパッドが重いと感じ,肩がこる,全体の圧迫感がある,左右のバランスが気になるとした.術側の負担を軽減するためには,被験者ごとに補整パッドの重さを再検討する必要がある.
本研究では,分析対象を繊維関連取引における染色加工整理業界の取引関係ネットワークとし,1998染色仕上年鑑(繊維社)に記載された染色加工整理関連会社の主要取引先3354社のデータからなる複雑ネットワークを作成した.2004年にNewman が提案したコミュニティ分割法を染色加工整理業界の複雑ネットワークに適用し,新たな知見を得ることを試みた.コミュニティ分割結果より,46個のコミュニティが存在し,取引関係の数から染色整理業を多く含む2個のコミュニティが競合関係にあることが分かった.また,高い中心性を有する企業には,繊維関連取引関係のコミュニティ構造を変える関係性があることが分かった.