アパレルにおけるVMD(Visual Merchandising)の観点から,照明の役割は重要であることは認識されてはいるが,VMDとして商品の印象を強調したい照明環境選定に特別な指針がないことから,本研究では,衣料品の平置き販売を模して,照明が蛍光灯または白熱灯の場合の,GREY,IVORY,BEIGE,BROWNの4種の背景色下で平面布地試料の色印象にどのような差があるかをRED,YELLOW,GREEN,BLUE,WHITE,BLACKの6色の試料それぞれについて検討した.色印象評価のために,形容詞13語を用いた.色印象差の評価結果を試料の色ごとにみると,背景色ごとに,照明種と照度により,色試料ごとに異なっていた.色の印象の差を最も多くの評価用語を用いて評価できる背景色は,GREYであった.GREY背景色でのREDは「明るい」,「あざやかな」,「美しい」,「クリアな」,「光沢のある」,「好き」,「派手な」,「新鮮な」,「目立つ」の印象が白熱灯下で強調された.BLUEでは,逆に上記の印象が蛍光灯下で強調された.YELLOWとGREENは,照明種及び照度によって強調される色印象が異なっていた.WHITEとBLACKは,照度による色印象差に大差はなく,印象用語ごとの印象差の傾向が類似していた.「クールな」印象は,全ての色を通じて蛍光灯下で強調される用語であることが分かった.色印象差が最も多くの用語によって豊富に評価される照度は,300~700 lxであった.