本論文は, 有害な紫外線から肌を守ることを目的として, 布と染料の特性が紫外線遮蔽性能に及ぼす影響について検討した.布上の染料は光エネルギーを吸収しやすいほど布を透過する光量を減少させ, 皮膚への紫外線暴露を減少することができる.しかし, 一方, 染色布の耐光堅ろう度の問題が発生する, 本報では, 布上の染料の光退色と紫外線遮蔽性能の関係について検討した.結果は次の通りである.
1) 遮蔽率90%以上を有する濃色染色布では, 光退色によって視感反射率Y%はやや高くなっても, ほとんど遮蔽率に影響を受けない.
2) UPF (紫外線防護係数) は紫外線遮蔽率90%以上で著しく増加する.そのため, 光曝露による退色は, 遮蔽率の変化に比べ, UPFでの変化は大きい.
3) 染色布を透過した光は染色布に添付したブルースケールを退色させ, 退色の程度は染色布の遮光性の目安になる.遮光性は白布より染色布が, 分散染料・ポリエステル染色布より直接染料・綿染色布の方が高い.
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