パンティーストッキング, タイツ, ハイソックス類の基本熱特性と保温性を調べ, さらに着用時に受けるレベルでの変形による保温性変化を明らかにした.結果は, 以下のようにまとめられる.
1) 全体的にみて, 厚くなるほどに有効熱伝導率は大きくなる.ハイソックス類では有効熱伝導率λ=0.080~0.090 (W・m
-1K
-1) , タイツ類では, λ=0.050~0.080 (W・m
-1K
-1) , パンティーストッキング類は, λ=0.035~0.055 (W・m
-1K
-1) くらいの範囲となる.厚さが1mm以下になると熱、コンダクタンスが大きく, パンティーストッキング類はバルキーなタイツやハイソックスの2~3倍の値を示す.
2) ハイソックスや厚いタイツT
bでは, 面積変化に伴い, 厚さが変形前の厚さに対して, 30%前後減る.それにより, 変形前の保温率は25~35%であるが, 変形によりさらに6~10%低下した.その他のタイツ類は変形前に対して厚さが25%減り, これらでは, 変形前の保温率は10~20%であるが, 変形により8~10%低下した.以上のことから, ハイソックスやT
bのようにスパン糸を編み込んだバルキーなものは保温性が高く, 変形により低下しにくいと言える.パンティーストッキング類では, 薄いので, 変形による熱輸送率の増加は, 変形前に対して10%以下であるが, いずれも変形前の保温率が10%以下であるため変形後は, 保温率5%以下と非常に断熱性に劣る.
3) 変形前後とも, ハイソックス類では, 総熱輸送抵抗R
tに対して, 試料自体の熱抵抗R
fの寄与が表面からの熱輸送抵抗R
sより大きい.また変形後も総熱輸送抵抗が他に比べ大きく, 全体の熱輸送に対して, 試料自体の断熱性が大きく働く.
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