分子量の異なるポリエチレンオキシド (PEO) 水溶液中での酸化鉄粒子とポリエステル, ポリプロピレン繊維のζ電位を測定した.高分子量 (3.54×10
6) のPEO水溶液中ではPEO濃度の増加とともに酸化鉄粒子および繊維のζ電位は急激に低下した.このようなζ電位の変化から繊維表面に吸着したPEOの吸着層の厚さを計算すると, 高分子量のPEOでは400nm以上になった.また, 水中での酸化鉄粒子と繊維間の反撥のポテンシャルエネルギーは, 両物質問距離が270nm以上では15kT以下になった.
これらの結果から, 高分子量のPEO水溶液中では酸化鉄粒子と繊維表面の間にPEOによる高分子架橋が形成されやすく, そのために, この水溶液では酸化鉄粒子の繊維への付着が促進されると結論された.
抄録全体を表示