衣服に染み付いた臭いの消臭を, クリーニングの仕上げ工程で用いるサイジング剤に環状オリゴ糖のシクロデキストリンを添加して, その臭いの徐放抑制効果で調べた.シクロデキストリン添加のサイジング処理をした布地に毛, 木綿, ポリエステルを用い, 臭気ガス成分にはトリクロロエチレン, トルエン, アンモニア酢酸を選びそれらの布地からの徐放濃度をガス検知管で測定した.
トリクロロエチレンやトルエンの臭気はβ-あるいはγ-シクロデキストリンをサイジング剤に添加することにより, 繊維の種類に関わらず完全なる消臭が可能となったしかしながら, α-シクロデキストリンによる有効な徐放抑制は見られなかった.アンモニアガスに対しては, 炉, γ-シクロデキストリンの添加により徐放抑制効果を示したが完全な消臭には至らなかったまた酢酸ガスにおいても, シクロデキストリンによる有効な消臭効果は見られなかったシクロデキストリンへのジアミンの導入は消臭を阻害することが分かった.これらの消臭は, 臭気成分の分子の大きさや極性によって大きな影響を受け, シクロデキストリンとの包接効果によることを示している.さらにはこのサイジング加工により衣服に吸着固定化で消臭された臭い成分は再度のクリーニング洗濯によって簡便にサイジング剤と共に衣服から除去されることが期待できる.
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