衣服着用時における人体と衣服との関わりを検討するため, 上半身の上肢動作時における高径およびレリーフの変化を含めた丈項目・幅項目の寸法の変化をとらえ, それらの結果をふまえて, ゆとり量の設定部位と袖付け角度の異なる実験衣を作成し, 着用実験を行い, 実験衣の動作適応や追従性を検討した.
その結果, 高径では上肢帯部の肩先点高, 前・後腋窩点高, 腋窩点高の変化が大きく生じた.丈項目では, 肩先点~W.L.と前腋窩線との交点, 前肩丈および脇丈で約27%, W.L.と後正中線の交点~後腋窩点~袖山中心線で約47%の最大増加率を示した.幅項目では, 前後腋窩点を通る上腕での変化が大きく前面で92.2%, 後面で62.7%の最大増加率を示した.これらの寸法変化を考慮に入れた実験衣による着用実験では, 肩先にゆとりを入れ, 脇丈を長くし, 袖付け角度の大きいものが動作適応がよく動作によく追従し, 着崩れが少ないことが判明した.
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