前報第1, 2報に引続き本報は次の2つの目的について検討した結果を報告するものである.
1) 異った照射源 (サンシャインカーボンアーク燈, 紫外線カーボンアーク燈, キセノン燈) からの紫外線照射の, アンモニウム塩系防炎剤による防炎加工染色布の劣化に対する影響の比較
2) アンモニウム塩系防炎剤にみられる顕著な変退色に対する抑制の試み
それらの結果を要約すると次のようになる.
1) 上記3種の照射源の中で, サンシャインカーボンアーク燈とキセノン燈との照射エネルギー分布は太陽光との相似性がより高く紫外線カーボンアーク燈のみが特異的である.しかしながらこれら三者の照射による変退色への影響はかなり類似した共通の傾向を示す.これは, これらのいずれを用いても太陽光の代用として照射の影響を評価することができることを意味する.
2) さらに詳細に検討すると, それらの間にはK/Sの若干の差が示された.すなわち, 照射エネルギーの相対的な強度に従ってサンシャインが最も大きい差を示し, キセノンが最も小さい差を示した.
3) 変退色抑制効果をみるために用いた31種類の化合物の中で, 金属ホウ酸塩は, 単独では著しい変退色をおこすアンモニウム塩を併用した場合, 最も大きい抑制効果を示し, 同時に防炎性能のかなりの向上を示した.
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