酵素配合洗剤, 酸化漂白剤および還元漂白剤が熱変性血液 (ヘモグロビンおよび血清アルブミン) 汚染布のたん白質汚れの除去に及ぼす影響について検討した.
その結果, 繊維基質上で熱変性した血液汚れは, 繊維基質の表面特性によっても洗浄性に差異を生じるが, 一般に未変性汚れに比し, 水に対する溶解・分散性が著しく低下し, 酵素配合洗剤による洗浄でもかなり低い洗浄率を示す.一方, 強い酸化作用を有する次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系の酸化漂白剤による熱変性血液汚れの洗浄においては, pH9.5以上, 40℃の洗浄条件下で, 300ppm以上の高濃度洗浄を行うとすぐれた洗浄効果を示すが, 繊維の損傷などを考慮すると, 通常漂白剤として使用される濃度範囲 (50~200ppm) 内に限定されるため, 次亜塩素酸ナトリウムのみによる25℃における洗浄では, 高い洗浄効果を期待することはむずかしい.しかし, 酵素配合洗剤による洗浄と次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄とを併用した2浴式洗浄では, 比較的高い洗浄効果が認められる.
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