絹様の合成繊維であるプロミックス繊維を快適な下着素材とするためには, 吸水性をさらに向上させる.ことが望まれる.先に, われわれはプロテアーゼによって分子鎖中の蛋白部分を分解し微細構造を変え, 繊維の吸水性, 保水性の改質のための最適条件を求めた.酵素処理の効果は試料の重量減少によって評価される.プロミックス繊維のプロテアーゼによる処理過程は次式のような非常に簡単な形式で記述できることがわかった.
W (t) =T [1-exp (-kt) ]
実験結果をコンピュータを用いて上式にカーブフィッティングさせることによって重量減少の飽和値, および酵素処理過程の速度定数を求めた.その結果, プロミックス繊維は酵素処理の条件によらず全重量の4%が分解され, その過程に差があることがわかった.分子鎖中でプロテアーゼにより分解される, 見かけ上活性な部位はプロミックス繊維の高次構造により支配されていると推定される.酵素処理による繊維の重量減少量と繊維に対する染料や, ヨウ素分子の吸着量との間には非常によい直線性がみられた.適当な染料やヨウ素分子などを指標とすることにより, プロミックス繊維のプロテアーゼによる処理効果を迅速に評価できる.特に, ヨウ素分子は昇華性があり, 繊維表面に付着した分子は容易に除去できるため微細構造比較の指標としては有効である.また, カーブフィッティングによって, 限られた実験値から客観的に数式のパラメータを求めることができた.
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