本研究では,家庭洗濯から合成繊維由来のマイクロプラスチックファイバー(以後,ファイバー)が排出されることを示すとともに,日本製の市販洗濯機に標準装備されている糸くずフィルターによるファイバーの回収を評価した.ポリエステル100% のフリース生地及び衣料を縦型洗濯機とドラム式洗濯機で繰り返し洗濯し,洗濯機付属の糸くずフィルターと排水ホースの先端に取り付けたフィルターによって回収されたファイバーの重量を測定した.縦型洗濯機ではドラム式洗濯機に比べてより多くのファイバーが生地や衣料から発生していた.縦型洗濯機付属の糸くずフィルターは,長さが3㎜以上のファイバーの7 割程度を回収できたが,長さが3㎜未満のファイバーはほとんど回収できずに,排出されていた.また,ドラム式洗濯機による洗濯で発生するファイバーの量は縦型に比べて少なかったが,そのフィルターは空隙が大きなためにほとんどファイバーを回収できなかった.