繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
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53 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
時辞刻告
解説
シリーズ「消費者行動とマーケティング」
シリーズ「機能性素材の評価方法の最前線」
解説
報文
  • 坂田 佳子, 今城 美波
    2012 年 53 巻 5 号 p. 348-355
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/30
    ジャーナル オープンアクセス

    これまでに,我々はヘマテインを用いて染色した同じたんばく質繊維である絹と羊毛の色目の差を見出した.この知見をきっかけとして,羊毛の染色において重要な役割を果たすとされる羊毛繊維内の細胞膜複合体(CMC)領域中の含有微量金属の役割を詳細に調べた.
    この報告では,CMC中の微量金属イオンの影響と,染色羊毛の表面色におよぼす金属イオン種を明らかにすることを目的とし,以下のように行った.羊毛および前処理した羊毛,すなわちコルテックス細胞およびギ酸やエチレンジアミン四酢酸を用いて改質処理した羊毛をカルミン酸で染色し,表面色をK/S-λ 曲線で表し羊毛中の金属イオンの影響を調べた.その結果,微量金属イオンの影響はEDTA処理羊毛と未処理羊毛のK/S-λ曲線の波長シフトにより認められた.続いて,銅,亜鉛,鉄で先媒染した絹布を染色後pH3-9のバッファで処理し,3種の金属媒染染色絹布のK/S-λ 曲線を染色羊毛のそれと比較した.羊毛染色布のK/S-λ曲線は,3種の金属イオンの中の亜鉛媒染絹布の曲線と類似形を示した.以上の結果から,カルミン酸を用いた羊毛染色布の表面色に影響を与える微量金属イオンは亜鉛であることを明らかにした.

  • ―照明の種類及び照度の影響―
    李 恩禎, 森川 陽
    2012 年 53 巻 5 号 p. 356-370
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/30
    ジャーナル オープンアクセス

    6色の平面の綿ブロード試料RED,YELLOW,GREEN,BLUE,WHITE,BLACKについて,ベース照明にスポット照明を加えた場合の色印象の強調を,13の印象用語を用いる官能検査により調査した.スポット照明は,白熱灯または蛍光灯のベース照明に電球色または昼白色しEDランプを組み合わせた4種類とした.スポット照明による印象強調を,ベース照明の白熱灯と蛍光灯のどちらで印象が強調されるかを調べた前報の結果をふまえて総合的に検討し,次の結果を得た.(1)13の印象用語は,色を通じて印象強調が多い6語(「明るい」,「クリアな」,「目立つ」,「派手な」,「あざやかな」,「光沢のある」)と,強調が少ない他の7語の2群に区分された.(2)プレタポルテ売場のような低照度では,印象用語の区分によらず印象強調が見られた.(3)ベース照明では,REDは白熱灯で,BLUEは蛍光灯で強調される傾向がスポット照明でも引き継がれ,REDでは電球色LEDランプを,BLUEでは昼白色LEDランプを加えたスポット照明下で印象がさらに強調された.しかし,他の色ではベース照明下とはほとんど対応することなく,印象強調するスポット照明が存在した.(4)印象強調が多い6印象用語を通じて印象強調に有効なスポット照明として,白熱灯をベース照明にして昼白色LEDランプ照明を加えたスポット照明環境が選定できた.(5)このスポット照明環境により,スポット照明によってかえって印象が減殺する場合が激減することがわかった.(6)注目する印象を強調するために有効な照明選定の指針を例示することができた.

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