酸化鉄粒子汚れに対する汚染防止作用のメカニズムを解析するため, 汚染におよぼす基本的な条件として, 酸化鉄粒子濃度および汚染浴の振トウ速度から検討し, 以下の結論を得た.
(1) 汚染浴の酸化鉄粒子濃度を増加させるとメン布およびポリエステル布への汚染性も増加し, 0.05wt%以上で汚染平衡に達した.しかし, 低濃度領域では, ポリエステル布の汚染性が高いが, 濃度が高くなると, メン布の方が汚染し易くなった.
(2) 繊維への酸化鉄粒子の付着挙動は, 見掛け上, Langmuir型となった.特に, 酸化鉄粒子汚れの低濃度領域では, メン布はS型, ポリエステル布はL型 (典型的Langmuir) であった.さらに, これらの見かけ上の飽和付着量はメン布で13.4mg/g, ポリエステル布は11.5mg/gであった.
(3) 汚染浴の振トウ速度を変化させると, 汚染平衡に達するまでに, 振トウ速度の上昇に伴う汚染の進行が遅く, 振トウ速度に比例して汚染が進む段階, そして汚染平衡に達する3つの段階が存在した.
(4) 振トウ速度の変化による汚染性の変化に対して, 振トウによって粒子の運動によるお互いの接触機会が増すことに加えて, 粒子の分散・凝集の変化が起因していると考えられる.
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