本研究は,多民族国家であるブラジルを対象として,日伯で企画製造されたブラジャーを,日伯それぞれの若年女子に官能評価させて,多民族に通用するブラジャーの設計指針を得ることを目的とした.官能評価の被験者は,日本のサイズC70ならびにブラジルのサイズ42/Pequeno(small)の着用対象となるブラジル人22名と,日本人20名とし,ブラジル製3種と日本製3種を試料として選んだ.衣服圧を日本人14名で測定すると,ブラジル製は日本製より低かった.日本の被験者は,衣服圧と圧迫感との相関(r=-0.81)や圧迫感と整容感との相関(r=-0.83)が高く,ブラジル製のブラジャーを圧迫感がなく整容感がないと評価した.しかし,ブラジルの被験者は,総合的な着心地と接触感との相関(r=0.97)や衣服圧との相関(r=-0.90)が高く,ブラジル製の方が着心地が良いと評価した.すなわちブラジルでは,伸びやすく汎用性があって,圧迫感のない,接触感の良いブラジャーを求めていることが分かった.